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コンタクトレンズにさらなる機能をもたせたものをスマートコンタクトレンズといいます。
現在では、コンタクトレンズにセンサーを組み込み、
24時間、眼圧を連続測定できるコンタクトレンズが既に登場し、
日本でも臨床応用されています。
今回、新しく発表されたものは、血糖測定ができるコンタクトレンズです。
このスマートコンタクトレンズには、超薄型の電気回路とチップが内蔵され、
微弱な電流変化から、糖濃度を測定できる仕組みです。
このコンタクトのさらにスゴイところは、
目につけた状態で自動で発電し、眼表面に薬剤を投与することまでもできることです。
ウサギを使った実験では、血糖測定と薬剤伝達機能の安定性がすでに確認されています。
また厚さは約0.2mmで、これは眼圧測定用のレンズよりも薄い仕様となっています。
この薬剤伝達機能は、
将来的に糖尿病網膜症の治療に応用できる可能性もあり、期待が膨らみます。
早く治験が完了すれば、近日中には製品化されるとのことですので、
新たな機能を兼ね備えたスマートコンタクトが、近々誕生するかもしれません。
院長まつやま

2023-03-25 16:33:51
毎年3月上旬の1週間は世界緑内障週間に定められ、
緑内障啓発のための国際的イベントが世界各国で行われます。
今年は3月12日(日)から18日(土)までがその期間に当たり、
日本の各地で公共施設や病院がグリーンにライトアップされる予定です。
写真はライトアップされた出雲大社です。
緑内障と眼圧は切っても切れない仲ですが、眼圧はさまざまな状況で変動します。
1日の中で眼圧が変動する日内変動は、
変動幅が大きいほど緑内障が進行しやすい可能性が報告されていますし、
冬に眼圧が高くなる季節変動は、その時期だけ緑内障の目薬を増やすこともあります。
また一時的に眼圧に影響する因子もしられています。
運動やアルコール摂取は一時的に眼圧を下げますし、
逆に喫煙やカフェイン、過度の飲水は眼圧を上げることが知られています。
しかし、先日報告された日本での研究では、
コーヒーをよく飲む人ほど眼圧が下がるという結果が出ていたため、
様々な条件が関係しているのかもしれません。
これらの一時的な眼圧変動の因子については、
良くも悪くも一時的な効果であるため、緑内障そのものには影響しないと考えられてきました。
ところが運動に関しては、緑内障の治療効果がある可能性が報告されています。
運動により眼圧が低下しただけでなく、
緑内障による視野障害の進行が緩やかになったというものです。
もともと運動は、昔から、多くの生活習慣病や慢性疾患に対して予防的に働くことはよく知られていますが、
もし緑内障にも効果があるとすれば患者さんにとっては朗報です。
報告によると、1日1000歩の歩数や30分の起立姿勢くらいの運動でも、
視野にいい影響が出たとのことです。
「点眼をさして後は神まかせ」
という現状や、診察室での眼圧に一喜一憂するのではなく、
ぜひ簡単な運動からでも始めてみてはいかがでしょうか?
院長まつやま

2023-03-14 19:19:39
毎年3月上旬の1週間は世界緑内障週間に定められ、
緑内障啓発のための国際的イベントが世界各国で行われます。
今年は3月12日(日)から18日(土)までがその期間に当たり、
日本の各地で公共施設や病院がグリーンにライトアップされる予定です。
写真はライトアップされた小倉城です。
緑内障は日本での失明原因の第1位ですが、
アメリカでも失明原因の第2位です。
アメリカ眼科学会は定期的に眼病の啓発と提言を行っていますが、
以下は同学会が提示した緑内障の危険因子です。
緑内障のリスクに関連する因子として
(1)40歳以上、
(2)アフリカ系、アジア系、ヒスパニック系、
(3)眼圧が高いといわれたことがある、
(4)遠視または近視、
(5)眼外傷の既往がある、
(6)角膜が薄い、
の6つを挙げています。
この他、糖尿病、片頭痛、高血圧または貧血の合併も危険因子と述べています。
アジア人であるわれわれ日本人は、
白人よりもさらに緑内障になりやすいことが知られています。
緑内障は一般的には自覚症状が少ない病気ですが、
すでに早期の段階で永久的かつ不可逆的な視神経のダメージが進行してきており、
すぐにでも視力低下が起こり得る状態です。
失明を回避し、この病気にうまく対処するには早期発見が最も重要ですので、
上記の危険因子にピンときた方は早めの受診をお願いします。
院長まつやま

2023-03-08 08:37:50
緑内障は開放隅角タイプと閉塞隅角タイプの緑内障に分かれます。
日本にける緑内障の約90%は開放隅角タイプの緑内障です。
逆に、閉塞隅角タイプは日本の緑内障の約10%しかいませんが、
このタイプは急激に眼圧が上昇してきて、
下手をすると一晩で失明するような緑内障発作をおこす可能性がある緑内障です。
現在でも、世界中で530万人がこの閉塞隅角タイプの緑内障で失明するといわれており、
いまだに東アジアの失明の主要疾患となっています。
日本でも約30年前には、このタイプの緑内障はレーザー治療ですぐに治ると思われていましたが、
現在では、レーザー治療の合併症の問題や、
レーザー治療だけでは治癒できない緑内障が多いことがすでにわかっています。
実は、閉塞隅角タイプの緑内障には、意外にも白内障手術が有効です。
緑内障なのに白内障手術?と思われるかもしれませんが、
閉塞隅角タイプの緑内障は、程度の差こそあれ、水晶体そのものがその眼圧上昇の原因になっているのです。
この閉塞隅角タイプの緑内障においては、
日本緑内障学会でも白内障手術を推奨していますし、
イギリスや東アジアの大規模調査でも、
従来のレーザー治療よりも白内障手術の方が経過がいいことが証明されています。
しかしながら、まだ全く緑内障や白内障を発症していない方や手術に抵抗がある方、比較的若い方では、
緑内障発作の予防のためにとりあえずレーザー治療で急場をしのぎ、
将来的な白内障手術に備えることは、今でも行います。
また、閉塞隅角タイプの緑内障を併発している方の白内障手術は、
通常の白内障手術に比べてやや手術が難しくなることは確かなため、
いざ合併症を起こした際の視力予後はよくないことが報告されています。
ちなみに、自分の目が閉塞隅角になりやすいタイプかどうかは、
外来の検査で簡単に判別することができますので、気になる方はお申し出くださいませ。
また、すでに閉塞隅角の方で、レーザー治療か白内障手術か迷っておられる方も、
是非ご相談くださいませ。
院長まつやま

2023-01-05 08:53:08
スギやヒノキの花粉飛散数は、前年の夏の気象条件と前年の春の花粉の飛散量に影響されます。
一般的に、日照時間が長く、気温が高いと、花粉飛散数が多くなります。
また、花粉が多く飛んだ翌年は、花粉飛散数が少なくなる傾向がみられます。
昨年のことを覚えておられますでしょうか?
昨年の6月は、全国的に梅雨が異常に短く、その分、日照時間がかなり長くなりました。
また、夏は高温を記録しています。
このような気象条件を反映して、中国地方では花粉の飛散傾向がやや多い予想となっています。
ちなみに、
関東や東海地方は場所によっては、昨年の3倍近くに達するところもあるそうです。
花粉飛散日とは、
「1cm2あたり1個以上の花粉が飛散した日が2日以上続いた時の最初の日」
と明確な定義があります。
つまり、1月からすでに少量のスギ花粉は飛散していることもあり、
敏感な方はすでに症状を発症している方もおられます。
ほおっておくと、重症化や慢性化することもありますので、
症状が出始めたら、早めの受診をおススメします。
院長まつやま

2023-01-04 18:29:34
お酒を飲むときに、いろいろな種類のお酒を飲むことを「ちゃんぽん」といいます。
ちゃんぽんをすると悪酔いや二日酔いをすると言われますが、
実際はどうなんでしょうか?
調べてみると、
「複数の種類のお酒を飲んだからといって、酔いやすくなる」
とするエビデンスはないそうです。
お酒に酔うのは摂取したアルコール量とその人のアルコール分解能に依存しています。
またお酒を飲むのにかける時間(いわゆる飲むペース)もその大事な要素となります。
つまり、飲みなれたお酒だけを飲む場合は自分の飲むペースを把握できているのに対して、
数種類のアルコール濃度のお酒を飲むときには、
自分でも飲むペースを把握しにくくなります。
また私自身もそうですが、酔いが進むとついついいい気になり、
さらに強いお酒をハイペースで飲んでしまいます。
当然、そのような時は通常の許容量以上のアルコールを摂取してしまい、
アルコールの分解能力を超えて悪酔いや二日酔いになってしまう、ということのようです。
考えてみれば当たり前のようですが、
お酒を飲む機会の多いこの季節、自分のアルコールの許容量や飲むペースを守って、
楽しくお酒を飲みたいものです。
院長まつやま

2022-12-15 14:48:41
加齢黄斑変性症は、現在、日本で失明原因の第4位を占める病気です。
もともと欧米では、失明原因の第1位を占める病気でしたが、
抗VEGF療法(抗VEGF抗体を眼内に注射する方法)が開発されてからは、
激減してきています。
それでも、一度症状が進行すると、まだまだ失明に至る症例も多いのが実情です。
そこで大事になってくるのが、加齢黄斑変性症の予防です。
加齢黄斑変性症には、いくつかの前駆病変が知られています。
物が歪んで見える症状で発症するのが一般的ですが、
症状が出る前であっても、眼底検査やOCT検査(目のCT検査)で簡単に診断することが可能です。
加齢黄斑変性症予防の三大要素は、禁煙、サプリメント、光の防御です。
喫煙者の病気のリスクは4倍になります。
また禁煙してからそのリスクが半減するまでは、10年もかかるといわれています。
サプリメントは、病気への進行が25%抑制されることが知られています。
また光の防御にはサングラスの着用のほか、
白内障手術の時に特殊に着色された眼内レンズを使用することなどがあげられます。
加齢黄斑変性症を発症すると、その反対眼にも5年以内に43%と高率に発症することが知られています。
できる限り、以上にお話した予防を行い、少しでもリスクを減らしておくことが大事です。
気になる方はご相談くださいませ。
院長まつやま

2022-11-29 16:19:36
平均寿命とは、今後、死亡状況が変化しないと仮定して、
その年に生まれた0歳児が平均で何歳まで生きられるかを予測した数値です。
2022年の平均寿命は、女性が87.57歳、男性が81.47歳でした。
2021年は、コロナの影響で10年ぶりに平均寿命が減少していましたが、
2022年は過去最高を更新しています。
ちなみに、その前に平均寿命が減少したのは、東日本大震災のあった2011年でした。
かつては、男女とも世界一の平均寿命でしたが、
現在は、女性は世界2位、男性は3位となっています。
ちなみに、女性では、平均寿命1位から3位は、香港、日本、スペイン、
男性では、1位から3位は、香港、スイス、日本となっています。
寝たきりになったりせずに生活できる寿命を健康寿命といいますが、
健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳です。
つまり、平均ではありますが、
男性で約9年、女性で約13年は介護生活をしていることになります。
この健康寿命を、どれだけ平均寿命に近づけることができるかが
今後の課題となります。
院長まつやま

2022-11-15 17:24:40
ハロウィーンはいつの間にか、日本では仮装大会として定着してしまいましたが、
本場アメリカでも子供が盛り上がる最もポピュラーなイベントのひとつです。
しかし、アメリカでもハロウィーンの仮装に凝るあまり、
目の色を変えるための仮装用コンタクトレンズ(CL)をする人が多くいます。
ある研究によると、美容用CLやカラコンの使用により、
角膜炎のリスクは16倍以上増加するといわれます。
そこでアメリカの眼科学会は、
ハロウィーンに先立って、仮装用CLを使用する際の注意事項を発表しました。
・仮装用や美容用のコンタクトレンズは、処方箋提出が必要な小売店や眼科医から購入すること
・購入の際は正規の処方箋を入手すること
・視力が正常であっても検査と処方を受け、「フリーサイズ」や「眼科受診の必要なし」といった宣伝文句を信用しないこと
・洗浄や消毒、着用の際は製品の注意書きに従うこと
・他人とレンズを共有しないこと
・異常を感じた時は使用を中止して、受診すること
などを推奨しています。
仮装用CLで目立ちたい気持ちもわからなくもないですが、
たかがコンタクトと高をくくっていると痛い目にあうこともあります。
大事な目のケアを優先していただけると幸いです。
院長まつやま

2022-10-31 13:11:00
ネコはイヌとともに、もっとも一般的なペットです。
ある統計によると、ネコの生涯必要経費は軽く100万円を超えており、まさにファミリーの1人です。
ネコにまつわる人間の病気としてもっとも多いのは、
ネコに寄生するノミによるノミ刺されです。
また、目にも関係するネコの病気と言えば、ネコひっかき病といわれる有名な病気があります。
名前は可愛いですが、症状は決して可愛らしいものではありません。
しかもネコの中でも、子猫にひっかれた時のほうがより発症しやすいとのことですので、
余計に厄介です。
症状としては、
受傷部位に一致した皮膚症状とリンパ節の腫れ、痛みなどですが、
これらは通常は数か月で治ります。
問題はその後です。
忘れたころに、目のかすみが発症してくることがあります。
原因はネコやそのノミに寄生する細菌です。
自然治癒したと思われていた細菌が、血液の流れによってに目に寄生し、
網膜や脈絡膜、視神経に炎症を起こすのです。
炎症の場所によっては、視力が低下したままとなってしまいます。
なんと、飼いネコの4割にこの細菌が感染しているとのこと。
ネコの口腔内にも細菌がいるとのことですので、むやみにネコにキスするのもアウトです。
心当たりがある方は、早めの治療が必要ですので、早めに受診してくださいませ。
院長まつやま

2022-10-20 14:03:05