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帯状疱疹とは、水痘帯状疱疹ウイルス(ヘルペスの一種)による感染症で、
皮膚のピリピリする痛みから始まり、赤みや水泡などの皮膚症状や皮疹を発症します。
もともとこのウイルスは、小児の頃にいつのまにか感染し、
そのまま体内の神経の中に隠れて潜んでいます。
このウイルスが、ストレスや疲れ、免疫機能の低下に伴って活性化し、
その神経支配領域に皮疹を起こします。
この帯状疱疹が、顔の感覚を支配する三叉神経領域に起こると、
おでこから目の周囲にかけて皮疹が生じます。
三叉神経は一部、目の表面にも分布しているため、
目の表面や目の中に炎症を起こすこともあります。
目の炎症に関しては、軽い結膜炎から、眼内の炎症である重度のぶどう膜炎までさまざまで、
ぶどう膜炎に伴って続発緑内障を合併することもあります。
ぶどう膜炎や続発緑内障を伴うような重症の眼部帯状疱疹は再発しやすいことが知られており、
5年再発率が25%もあるとのことですので、注意が必要です。
最近は、コロナワクチンの影響もあり、
眼部の帯状疱疹の患者さんが増えてきているとする報告もあります。
早期の治療が功を奏しますので、
おでこから側頭部のピリピリ感がある方は早めの受診をお勧めします。
院長まつやま

2023-06-01 15:18:07
最近、少しづつ日差しが強くなってきましたが、
この時期に特に強くなるのが紫外線です。
太陽光により暴露される紫外線は、主に皮膚と目に障害を引き起こします。
目の障害としては、角膜炎や結膜炎が有名です。
よくスキーに行った後などに生じる雪目や、溶接工にみられる電気性眼炎などです。
これらは急性症状がメインであり、痛みを伴う激しい充血が起こります。
しかしながら、目の表面は治癒力も高く、
適切な点眼や軟膏にて一晩過ごせば、おおよその症状は消失します。
また、慢性症状としては、眼表面の翼状片や瞼裂斑、眼内の白内障などがあります。
やはり見え方に影響してくる時には、手術が必要となることもありますので、
気になる方は、定期的なチェックが必要となります。
対策としては、紫外線照射を防止するしかありません。
適切なつばの長い帽子とサングラスにて、9割以上の紫外線がカットされるといわれています。
特にサングラスは有用ですが、
サングラスの色の濃さと紫外線カット率は比例しないため、注意が必要です。
しっかりと紫外線カットしてあるものを購入するか、
メガネ屋さんで、お手持ちのサングラスの紫外線カット率を計測してもらうといいでしょう。
また最近は、眼鏡と同様に、調光機能(紫外線の量によって色調が変わる機能)を持ち合わせた
使い捨てコンタクトレンズも登場してきています。
個人的にこの調光コンタクトレンズを装用してみたところ、
運転やゴルフにはメリットがあるように思います。
ご希望の方はお申し出くださいませ。
院長まつやま

2023-05-15 13:14:28
今年はスギ花粉が昨年の数倍も飛散したため、アレルギー性結膜炎の患者さんが増加しましたが、
スギやヒノキの花粉のピークはすでに過ぎています。
アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎は、一般的に花粉症として知られていますが、
実は、花粉以外にもさまざまなものがアレルギーの原因となりえます。
採血でアレルギー物質を調べる場合には、
季節の花粉に加え、ホコリ、ダニ、昆虫、イヌ、ネコなどのアレルギー抗体を一度に検査しますが、
そこには、PM2.5や黄砂の項目はありません。
PM2.5や黄砂は、花粉よりもはるかに小さな粒子であり、
中国から飛散してくる過程で、その表面にさまざまな化学物質が付着しています。
主には、これらの化学物質がアレルギーをひきおこすと考えられています。
4月から5月にかけては、1年の中で、最もPM2.5や黄砂が飛散しやすい時期です。
また、もともと花粉症を患っている方は、
PM2.5や黄砂がまざることによって、症状が増悪することが報告されています。
PM2.5や黄砂の飛散状況や飛散予報は、随時、インターネットで確認することができますので、
花粉症がなぜかまた増悪してきているように感じたら、ぜひチェックしてみてください。
院長まつやま

2023-05-02 17:52:05
一般的に、昼寝は健康的な習慣と見なされています。
昼寝はパフォーマンス向上をもたらし、
睡眠不足による悪影響を緩和すると考えられているからです。
しかし、近年のヨーロッパ心臓病学会では、
昼寝と死亡リスクについて、衝撃的な報告がなされています。
この研究は、昼寝と心血管疾患の発症リスクと全死亡リスクとの関連を検討した
研究論文20件を基に解析を行ったものです。
対象は31万人以上で、このうち4割弱に当たる人が昼寝の習慣を持っていました。
驚くべきことに、昼寝の習慣がある人では、
全死亡リスクが19%も増加していました。
具体的には、女性で22%、65歳以上の高齢者で17%も全死亡リスクが増加していたとのこと。
さらに、昼寝を1時間以上する習慣のある人は、
心血管疾患の発症リスクが34%、全死亡リスクが30%も高いことが明らかになりました。
これらの原因は明確にはなっていないものの、
長い昼寝により体の炎症レベルが上昇することを示唆する報告や、
昼寝と高血圧や糖尿病の発症、全体的な健康レベルの低下との関連を示す研究が
報告されているとのことです。
睡眠の問題について気になる方は、専門医と話し合うことをすすめているほか、
もし昼寝をするのであれば、1時間以内にとどめる方が安全だとしています。
院長まつやま

2023-03-29 13:29:41
コンタクトレンズにさらなる機能をもたせたものをスマートコンタクトレンズといいます。
現在では、コンタクトレンズにセンサーを組み込み、
24時間、眼圧を連続測定できるコンタクトレンズが既に登場し、
日本でも臨床応用されています。
今回、新しく発表されたものは、血糖測定ができるコンタクトレンズです。
このスマートコンタクトレンズには、超薄型の電気回路とチップが内蔵され、
微弱な電流変化から、糖濃度を測定できる仕組みです。
このコンタクトのさらにスゴイところは、
目につけた状態で自動で発電し、眼表面に薬剤を投与することまでもできることです。
ウサギを使った実験では、血糖測定と薬剤伝達機能の安定性がすでに確認されています。
また厚さは約0.2mmで、これは眼圧測定用のレンズよりも薄い仕様となっています。
この薬剤伝達機能は、
将来的に糖尿病網膜症の治療に応用できる可能性もあり、期待が膨らみます。
早く治験が完了すれば、近日中には製品化されるとのことですので、
新たな機能を兼ね備えたスマートコンタクトが、近々誕生するかもしれません。
院長まつやま

2023-03-25 16:33:51
毎年3月上旬の1週間は世界緑内障週間に定められ、
緑内障啓発のための国際的イベントが世界各国で行われます。
今年は3月12日(日)から18日(土)までがその期間に当たり、
日本の各地で公共施設や病院がグリーンにライトアップされる予定です。
写真はライトアップされた出雲大社です。
緑内障と眼圧は切っても切れない仲ですが、眼圧はさまざまな状況で変動します。
1日の中で眼圧が変動する日内変動は、
変動幅が大きいほど緑内障が進行しやすい可能性が報告されていますし、
冬に眼圧が高くなる季節変動は、その時期だけ緑内障の目薬を増やすこともあります。
また一時的に眼圧に影響する因子もしられています。
運動やアルコール摂取は一時的に眼圧を下げますし、
逆に喫煙やカフェイン、過度の飲水は眼圧を上げることが知られています。
しかし、先日報告された日本での研究では、
コーヒーをよく飲む人ほど眼圧が下がるという結果が出ていたため、
様々な条件が関係しているのかもしれません。
これらの一時的な眼圧変動の因子については、
良くも悪くも一時的な効果であるため、緑内障そのものには影響しないと考えられてきました。
ところが運動に関しては、緑内障の治療効果がある可能性が報告されています。
運動により眼圧が低下しただけでなく、
緑内障による視野障害の進行が緩やかになったというものです。
もともと運動は、昔から、多くの生活習慣病や慢性疾患に対して予防的に働くことはよく知られていますが、
もし緑内障にも効果があるとすれば患者さんにとっては朗報です。
報告によると、1日1000歩の歩数や30分の起立姿勢くらいの運動でも、
視野にいい影響が出たとのことです。
「点眼をさして後は神まかせ」
という現状や、診察室での眼圧に一喜一憂するのではなく、
ぜひ簡単な運動からでも始めてみてはいかがでしょうか?
院長まつやま

2023-03-14 19:19:39
毎年3月上旬の1週間は世界緑内障週間に定められ、
緑内障啓発のための国際的イベントが世界各国で行われます。
今年は3月12日(日)から18日(土)までがその期間に当たり、
日本の各地で公共施設や病院がグリーンにライトアップされる予定です。
写真はライトアップされた小倉城です。
緑内障は日本での失明原因の第1位ですが、
アメリカでも失明原因の第2位です。
アメリカ眼科学会は定期的に眼病の啓発と提言を行っていますが、
以下は同学会が提示した緑内障の危険因子です。
緑内障のリスクに関連する因子として
(1)40歳以上、
(2)アフリカ系、アジア系、ヒスパニック系、
(3)眼圧が高いといわれたことがある、
(4)遠視または近視、
(5)眼外傷の既往がある、
(6)角膜が薄い、
の6つを挙げています。
この他、糖尿病、片頭痛、高血圧または貧血の合併も危険因子と述べています。
アジア人であるわれわれ日本人は、
白人よりもさらに緑内障になりやすいことが知られています。
緑内障は一般的には自覚症状が少ない病気ですが、
すでに早期の段階で永久的かつ不可逆的な視神経のダメージが進行してきており、
すぐにでも視力低下が起こり得る状態です。
失明を回避し、この病気にうまく対処するには早期発見が最も重要ですので、
上記の危険因子にピンときた方は早めの受診をお願いします。
院長まつやま

2023-03-08 08:37:50
緑内障は開放隅角タイプと閉塞隅角タイプの緑内障に分かれます。
日本にける緑内障の約90%は開放隅角タイプの緑内障です。
逆に、閉塞隅角タイプは日本の緑内障の約10%しかいませんが、
このタイプは急激に眼圧が上昇してきて、
下手をすると一晩で失明するような緑内障発作をおこす可能性がある緑内障です。
現在でも、世界中で530万人がこの閉塞隅角タイプの緑内障で失明するといわれており、
いまだに東アジアの失明の主要疾患となっています。
日本でも約30年前には、このタイプの緑内障はレーザー治療ですぐに治ると思われていましたが、
現在では、レーザー治療の合併症の問題や、
レーザー治療だけでは治癒できない緑内障が多いことがすでにわかっています。
実は、閉塞隅角タイプの緑内障には、意外にも白内障手術が有効です。
緑内障なのに白内障手術?と思われるかもしれませんが、
閉塞隅角タイプの緑内障は、程度の差こそあれ、水晶体そのものがその眼圧上昇の原因になっているのです。
この閉塞隅角タイプの緑内障においては、
日本緑内障学会でも白内障手術を推奨していますし、
イギリスや東アジアの大規模調査でも、
従来のレーザー治療よりも白内障手術の方が経過がいいことが証明されています。
しかしながら、まだ全く緑内障や白内障を発症していない方や手術に抵抗がある方、比較的若い方では、
緑内障発作の予防のためにとりあえずレーザー治療で急場をしのぎ、
将来的な白内障手術に備えることは、今でも行います。
また、閉塞隅角タイプの緑内障を併発している方の白内障手術は、
通常の白内障手術に比べてやや手術が難しくなることは確かなため、
いざ合併症を起こした際の視力予後はよくないことが報告されています。
ちなみに、自分の目が閉塞隅角になりやすいタイプかどうかは、
外来の検査で簡単に判別することができますので、気になる方はお申し出くださいませ。
また、すでに閉塞隅角の方で、レーザー治療か白内障手術か迷っておられる方も、
是非ご相談くださいませ。
院長まつやま

2023-01-05 08:53:08
スギやヒノキの花粉飛散数は、前年の夏の気象条件と前年の春の花粉の飛散量に影響されます。
一般的に、日照時間が長く、気温が高いと、花粉飛散数が多くなります。
また、花粉が多く飛んだ翌年は、花粉飛散数が少なくなる傾向がみられます。
昨年のことを覚えておられますでしょうか?
昨年の6月は、全国的に梅雨が異常に短く、その分、日照時間がかなり長くなりました。
また、夏は高温を記録しています。
このような気象条件を反映して、中国地方では花粉の飛散傾向がやや多い予想となっています。
ちなみに、
関東や東海地方は場所によっては、昨年の3倍近くに達するところもあるそうです。
花粉飛散日とは、
「1cm2あたり1個以上の花粉が飛散した日が2日以上続いた時の最初の日」
と明確な定義があります。
つまり、1月からすでに少量のスギ花粉は飛散していることもあり、
敏感な方はすでに症状を発症している方もおられます。
ほおっておくと、重症化や慢性化することもありますので、
症状が出始めたら、早めの受診をおススメします。
院長まつやま

2023-01-04 18:29:34
お酒を飲むときに、いろいろな種類のお酒を飲むことを「ちゃんぽん」といいます。
ちゃんぽんをすると悪酔いや二日酔いをすると言われますが、
実際はどうなんでしょうか?
調べてみると、
「複数の種類のお酒を飲んだからといって、酔いやすくなる」
とするエビデンスはないそうです。
お酒に酔うのは摂取したアルコール量とその人のアルコール分解能に依存しています。
またお酒を飲むのにかける時間(いわゆる飲むペース)もその大事な要素となります。
つまり、飲みなれたお酒だけを飲む場合は自分の飲むペースを把握できているのに対して、
数種類のアルコール濃度のお酒を飲むときには、
自分でも飲むペースを把握しにくくなります。
また私自身もそうですが、酔いが進むとついついいい気になり、
さらに強いお酒をハイペースで飲んでしまいます。
当然、そのような時は通常の許容量以上のアルコールを摂取してしまい、
アルコールの分解能力を超えて悪酔いや二日酔いになってしまう、ということのようです。
考えてみれば当たり前のようですが、
お酒を飲む機会の多いこの季節、自分のアルコールの許容量や飲むペースを守って、
楽しくお酒を飲みたいものです。
院長まつやま

2022-12-15 14:48:41