ヒトの目の中の80%は空洞となっており、その空洞部分には透明なゼリーが詰まっています。
ちょうど魚の目の中からでてくるゼリーと同じものですが、これを硝子体といいます。
本来は、この硝子体は眼球を外力から守るクッションの役目をしていますが、年齢とともにゼリーの混濁や収縮、液化など、硝子体特有の老化現象がでてきます。
これが飛蚊症をはじめ、網膜剥離や黄斑疾患(黄斑前膜、黄斑円孔など)の原因となります。
網膜剥離や黄斑疾患の手術には、この硝子体を取り除くために硝子体手術を行いますが、網膜剥離や黄斑円孔の術後の眼内には、特殊なガスや、重症例にはシリコンオイルを注入して手術を終了します。
そのため、数日間~1週間程度のうつぶせを必要としたり、数か月後にシリコンオイルを除去する再手術が必要でした。
この度、筑波大学が長期的かつ安全に置換することができる人工硝子体を開発に成功しています。
網膜剥離などの術後に、この人工硝子体を眼内に充填して手術を終了するわけですが、
実際の網膜剥離の動物モデルでは1年以上にわたって再発や合併症もなかったとのことです。
近い将来、ヒトに応用されれば、網膜硝子体疾患の患者さんの福音になると期待されています。
術後のうつぶせ姿勢や頭位制限は、特に高齢の患者さんにとっては予想以上に負担となりますので、このような最先端の研究で少しでも術後の患者さんの身体的負担がラクになることが望まれます。
院長まつやま
2019-07-09 09:07:01
医療のトピック