「外界からの情報の80%以上は視覚から入ってくる」という話を聞いたことがある人は多いかもしれません。
われわれ眼科医も、目の大切さを患者さんに説く場合には、よく口にするフレーズです。
いわゆる、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の5感でいうと、もっとも視覚からの情報が多いのは確かです。
では、この80%の数字はどこからきた数字で、何を根拠にしているのでしょうか?
この「外界からの情報の80%」について、過去の著書や文献を検索してみると、
教育機器関係の著書にて83%の数字が、また情報心理学の著書にて90%の数字がでてきますが、
どちらもその根拠をはっきり示していません。
しかしさらに調べてみると、40年前の神経生理学の教科書に、その根拠があるようです。
この報告では、感覚受容器の数をはじめ、求心性線維の数、神経細胞の平均放電頻度などから、脳への総入力情報量を求め、
この積算を根拠に情報量を算出しているとのこと。
日々、日進月歩の医学ですが、意外なことに、このような一見確かそうな情報に限って、40年前の文献を根拠にしているのは意外です。
現在のより進歩した測定機器や医学の知識をもってすれば、もっと正確で、根拠のある数字が導き出せそうなものです。
しかし、この80%という数字で特に不利益を被る人もいないため、
このくらいの数字であれば、経験上、皆が納得する相場の数字…ということのようです。
いづれにしても、視覚からの情報が圧倒的に多いことは確かであり、目が大切な器官であることにはかわりありません。
院長まつやま
2020-02-15 08:45:20
医療のトピック