
糖尿病は、日本でも疑い例を含めれば、すでに1000万人はいるとされています。
そのうち、目の糖尿病である糖尿病網膜症を発症している人は3~4割にのぼります。
糖尿病網膜症のガイドラインが、2020年末に、やっと改訂されました。
前回の改定が2013年のことですので、実に8年ぶりの改訂ということになります。
2019年8月のこのブログでも疑問を呈しましたが、
2013年のガイドラインでは、医療の進歩に追いつけておらず、
視力低下の原因となる糖尿病黄斑浮腫の診断に使用する網膜断層撮影(OCT)や、
いまや糖尿病黄斑浮腫の治療の第一選択である抗VEGF抗体療法については、
全く触れてもいないような内容であり、早期の改訂が望まれていました。
2019年に、アメリカでも糖尿病網膜症のガイドラインが15年ぶりに改訂されたのも、
今回の追い風になっているかと思います。
この改訂されたガイドラインでは、
網膜断層撮影(OCT)を用いた糖尿病黄斑浮腫の診断や、
眼底の広い範囲を一度に撮影することのできる広角眼底撮影の普及を踏まえた糖尿病網膜症の診断、
糖尿病黄斑浮腫の治療薬である抗VEGF抗体療法など、
最新の診断や治療法に関する情報が盛り込まれています。
また、糖尿病網膜症の進行の程度を示す病期分類や、
血糖・血圧管理についての記載、
厳格な血糖コントロールによる糖尿病網膜症の発症・進展の抑制効果についても述べられています。
ガイドラインは、国内での同一疾患に対する診断や治療に対して、
その考え方を統一することにより、施設間の医療格差を少なくする意味でも、大事なものです。
今後も、医療の進歩を反映して、定期的に検討を加え、継続的に改訂をしていただきたいものです。
院長まつやま
2021-01-05 09:20:55
医療のトピック