就学時健康診断は、
生徒が学校生活を円滑に送れるよう、保健上、必要な助言や適切な指導等を行うことを目的に行われるものであり、
学校生活を左右する重要な検診に位置付けられています。
主には、内科、歯科、眼科、耳鼻科の検診が行われることが、学校保健安全法に定められています。
しかし、検診する科によって医師の出務には大きな隔たりがあるようです。
例えば、内科検診や歯科検診では、ほとんどの地区で担当医師が出務して検診いるのに対し、
眼科や耳鼻科では約半分の地域でしか出務をしていません。
また、眼科の視力検査をしている施設は約7割、耳鼻科の聴力検査を行っている施設も約6割しかありません。
これらは、人口が多い地域と少ない地域の間でも差が出ています。
例えば、政令指定都市での医師出務率は、眼科も耳鼻科であっても8割を超えています。
逆に、人口の少ない地域では、医師が不足しているゆえに医師出務率が少なくなるのは当然です。
さらに、学校保健安全法で指定されている視力検査や聴力検査が、
就学時検診として行われていない地域があることも問題となっています。
眼科的には、斜視や弱視、色覚異常が見逃されている症例が時々みられます。
斜視や弱視に関しては、おおよそ10歳くらいまでに治療をしておかないと、
その後の一生涯において、病気をひきづることにもなります。
専門医の不足が影響している地域も含めて、
就学児の疾患の見逃しが学校生活に影響しないように、
各地域に応じた検診システムを再考していく必要があるかと思います。
院長まつやま

2021-03-24 08:47:37
医療のトピック