現在、日本では糖尿病患者が急激に増加してきています。
平成28年度の調査では、糖尿病が強く疑われる患者は全国で約1000万人となっており、
実に成人の11人に1人が糖尿病患者であることを示しています。
また糖尿病の目の病気である糖尿病網膜症に限っては、約300万人の患者がいると推計されています。
最新の視覚障害の原因の統計では、
1位が緑内障
2位が網膜色素変性症
3位が糖尿病網膜症
となっています。
また糖尿病網膜症の視覚障害の多くは、働き盛りの世代に集中しており、
これがまた社会問題になっています。
糖尿病網膜症は進行すればするほど重症度も加速することから、
糖尿病網膜症による視覚障害を減少させるには、
まずは糖尿病患者の眼科受診率を向上させることしか手はありません。
糖尿病網膜症のリスク因子に関しては、
網膜症がない人は、糖尿病に罹った期間、HbA1c、血圧、
また網膜症がすでにある人はHbA1cとなっています。
例えば、HbA1cが7%未満の患者と比較すると、
7%~8%の網膜症発症リスクは2倍、
8%~10%のリスクは3.5倍、
10%以上は7.6倍
になることが明らかとなっています。
また年齢や肥満度、腎機能も影響するほか、重症低血糖の有無も影響しやすいとされています。
つまり、網膜症の治療は眼科でしかできませんが、
網膜症の発症と進行を食い止めるには内科の先生の協力なくしては成り立たないのです。
現在は、外来に糖尿病手帳を持参していただく患者さんも増えてきました。
そこには、HbA1cだけでなく、血圧、腎機能、体重の記載欄もあります。
糖尿病に対しては、内科医と眼科医で協力して、治療していくことが大事です。
院長まつやま

2022-09-10 08:45:49
医療のトピック