緑内障は日本における中途失明原因の第1位を占める疾患です。
これまで日本では、40歳以上の約5%の人が緑内障に罹患しているとされてきましたが、
緑内障の有病率は加齢とともに上昇することがしられているため、
高齢人口の急激な増加に伴い、緑内障の有病率も増加してきていることが懸念されています。
日本での最も新しいデータは、2017~2018年に行われた福岡県の久山町研究です。
40歳以上の住民3400名以上を対象に、緑内障の詳細な検診を行っています。
その結果、緑内障の有病率は7.6%と従来の報告よりも高いことが示されました。
緑内障の病型に関しては、眼圧が10mmHg~21mmHgのいわゆる正常眼圧の範囲内にあるにも関わらず、
緑内障による視神経萎縮が進行してくるタイプのものを、正常眼圧緑内障といいますが、
今まではこのタイプの緑内障が全体の80%を占めると言われてきました。
しかし、今回のデータでは、なんと緑内障全体の94%の人が正常眼圧緑内障であり、
眼圧による緑内障の分類自体がほぼ不可能になってきていることがわかりました。
日本人の人口構造が大きく変化する中で、病気の有病率も大きく変化してくることが明らかとなると同時に、
中途失明原因の1位である緑内障に対して、さらなる啓蒙が必要と思われます。
院長まつやま

2023-06-20 12:55:50
医療のトピック