糖尿病に罹患している方は、約40%に糖尿病網膜症を発症すると言われています。
糖尿病網膜症による視力低下は、
かつては末期の網膜症や硝子体出血、難治性緑内障によるものがメインでしたが、
最近では糖尿病網膜症によって黄斑部に炎症を起こす糖尿病黄斑浮腫がメインとなってきています。
この糖尿病黄斑浮腫は、糖尿病網膜症のステージに関係なく発症するため、
非常に軽度の網膜症でも、視力低下が起こってしまいます。
糖尿病黄斑浮腫は、かつては難治とされていましたが、
現在ではすでに特効薬が開発されています。
抗VEGF抗体といわれる注射を眼内に行う方法(硝子体注射)です。
非常に有効な治療法ですが、
この抗VEGF抗体の一番の問題は治療費です。
もともとの薬剤費が約15万円もかかりますので、
3割負担としても約5万円の負担がかかります。
しかも眼内に直接注射するにもかかわらず、
この手技は手術として認められていない(=医療保険の対象外となる)ので、
患者さんに直接約5万円を負担していただくこととなります。
一度の注射で、約1~3か月は効果が持続しますが、
人によっては何度も黄斑浮腫が再発するため、
その度に硝子体注射を行うことは、金銭的にも精神的にも負担となってきます。
いい治療にはお金がかかる、ということかもしれませんが、
糖尿病黄斑浮腫の罹患率や硝子体注射の負担を考えると、
厚労省には、是非、この治療を医療保険の対象としていただきものです。
院長まつやま
2024-02-01 14:14:49
医療のトピック